これは僕がコールセンターで働いていた時の話です。
僕は新卒1年目で会社を辞めた後、ハローワークで求人を探してコールセンターの仕事に就くことになりました。
コールセンターの仕事は思ってたより待遇が良く、土日は休みを確保することができました。
また仕事の終わりが明確であるため、残業する事はあっても、以前のように0時を超えるというような事はありませんでした。
そんな居心地の良さもあってか、当時3年で辞める予定だったのが4年勤めて辞めることになりました。でも辞める時には、
会社で働くのはやめよう
という考え方に変わっていました。
今回はそんな体験談からの気づきをお伝えします。
コールセンターのお仕事
僕が勤めた会社では、コールセンターのお仕事はクライアントの電話業務の代行という位置づけでした。
例えば秘書代行業務。
これは事務所を構えた社長の代わりに、電話を受ける業務で、主には社長宛にかかってくるセールスを断ったり、取引先からの電話を社長に繋いだりするという業務です。
他には、メジャーどころで言うと、通信販売ですね。この仕事はクライアントに代わって電話で注文を受け付ける業務を行います。
よくテレビショッピングでやっている、ここにお電話ください!と言って電話をかけた先がここになります。
他には、カスタマーサービス系があります。
これは設定の仕方がわからないお客さんからお電話があったときに、そのやり方を説明したり問題の解決方法を教えたりするという業務です。
よくあるものとしては、パソコンが動かなくなったときのトラブルシューティングとか、メールの設定がうまくできない場合の対応とか、いろいろ多岐に渡ってありました。余談ですが、僕はこのカスタマーサポート系が得意でした。
コールセンターのいいところ
- ネットが使えない人にとっては利用しやすいサービスです。電話しか使えない人にとってはそれで注文を取ることができるので使いやすいです。
- 声と声のやり取りで感情を伝えられます。
テキストでは伝わらない生の声から、お客さんのニーズを汲み取る事には電話の性質上向いています。 今の時代、人の感情を汲み取るってのはなかなか難しくなってきているので、こういう方面で特化すればコールセンターもまだまだ伸びしろはあるんじゃないかなと思っています。ただコールセンター業務だけではなくて、マーケティングと組み合わせることが大事ですね。お客さんのニーズやウォンツを把握して、それをクライアントにフィードバックする。こういう仕組みができればもっと儲かるビジネスになるんじゃないかなと思ってます。お客さんのヒアリングに特化したコールセンターだったらニーズはありそうです。
- 代行業なので様々な業種に関われます。
これは僕の経験からなんですけれども、コールセンターにはありとあらゆる業態のクライアントさんが依頼をしてきます。例えば葬儀系や健康食品の類とかですね。
で、葬儀系だと内容がかなりデリケートすぎて電話を取るのがしんどかった覚えがあります。例えば今妻がなくなったから葬儀を手配してほしいとか言う電話が普通に入ってくるんですね。
あと健康食品通販系って結構面白いです。フロントエンドやバックエンドの商品の売り方がうまいんですね。リピーターさんを維持していく戦略っていうのは、非常に参考になりました。
多くの通販会社がやってるんですけれども、初回は低単価や無料とか1000円以内とかに抑えて、それを定期購入して利益を稼いでくってスタイルが多いです。
ちなみに健康食品系を買う場合には注意が必要です。
というのも医薬品ではないので、効果が保障されていないんですね。この「効果」っていう言葉自体も、薬事法の関係で医学的根拠がなければ使うことができないんです。
なので僕の場合は、今こういったお客様の声がありますよといった形でお客さんの信用を得ていくっていうやり方をしてました。
あと、特定健康食品系は信頼がおけます。一定の効果が認められていて厚生労働省がそれを認可しています。トクホの黒ウーロン茶とかペプシコーラとか出てますけど、そういうやつは一応一定の効果があるんですね。
[トクホ] サントリー 黒烏龍茶 350mlPET×24本健康食品系の通販はこういった形態から、本当に効果が何であるのかわからないし、そんなの売っていいのかなっていう罪悪感もありました。
クライアントさんとしては定期率を上げることが全てだったんです。クライアントの利益追求のためとは言え、効果が出るかどうかわからない商品を売っていくのは心苦しかったです。
定期購入の目安として、大体3ヶ月というのを推奨するんですけれども、これって体の変化が続けていくと3ヶ月で変わるっていう習慣に起因してるんじゃないかなと今思ってます。
この商品は体に良い、この商品を飲めば痩せるという思い込みを続けていくうちに、頭がその思考に変わっていき、それに体が合わせようと変化を促すんですね。
で、その習慣ができあがるのが3ヶ月と言われています。なので3ヶ月の定期購入っていうのは、多分これに沿ってるんじゃないかなと思います。まぁあくまで、一個人の意見です。
クライアントさんによってお客様の捉え方は様々で、良い会社っていうのはクレーマーさんの処理は引き受けてくれます。これはお客さんの利益を第一に考えてるからなんですよね。
クレーマーさんの処理をこじらせると、リピートはおろか悪評を流されてしまいます。悪評の広まるスピードっていうのは良い口コミに比べて10倍早いと言われているんです。なので、こーゆーお客さんを大事にできないのは、利益を下げる原因になっちゃうんですね。
それで悪い会社っていうのはその反対で、クレーマー含めこっちで何とかするように指示してきます。あげくその対応がうまくいかなかったら責任をこちらに転嫁してくるんです。ほんと最悪ですよね。
こういった事情を知れたのも、コールセンターに勤めたからだったと思います。
コールセンターの悪い所
①一度にさばける数っていうのが決まってます。
そりゃそうですよね。電話ですから1対1のやりとりになるわけです。という事は1人のお客さんに対して1人が対応しなきゃいけないんですよ。
つまり、さばける数が人に依存しています。これを日本でやっちゃうと人件費が高くなります。1本大体200円とか1000円とか、扱ってる商品によって様々なんですけれども、それぐらいのコストがかかるんですね。
コールセンターによく電話したら電話がつながらないって、不満を持ってる方もいらっしゃると思うんですけど、これも人がいないせいなんですね。コールセンター業界の人手不足は深刻です。
さらに悪いことに、ネットの普及によって、このビジネスって淘汰されていきます。縮退するビジネスモデルと言わざるをえません。だってそうじゃないですか。今だったらネット注文であらかじめ個人情報さえ登録しておけば、ボタン1つで商品を買えちゃいますよね。Amazonなんて、超便利ですよね。
ネットを使える人は、どんどん少なくなっていくわけですから、それに応じて市場が小さくなっていく一方です。
もちろんテレビで魅力を感じて、すぐ注文できるっていうメリットはありますけれども、そのためには対人でのセールス力は欠かせないと思います。だからコールセンターで働く人にはセールススキルっていうのを求められます。
②クライアント>コールセンターなので、立場が既に平等ではないです。
コールセンターで、できるできないのサービスの線引きっていうのが曖昧だったんですよね。
僕が勤めていたコールセンターでは、クライアントのご機嫌取りの為、無理難題を押し付けられてもやってしまっていました。そうするとコールセンターが本来提供できるサービスが崩壊して、現場が疲弊していってるんですね。
疲弊した現場のスーパーバイザーとしての業務はかなりきつかったです。それでも1日のコール数を捌ききれれば仕事自体は終わりだったので、新卒1年目で勤めた会社よりはマシでした。
これだけは知っておいてほしい!
ビジネスというのは本来、関係性は平等というか対等であるべきです。なぜならそれは価値交換だからですね。
コールセンターではサービスを提供する代わりにお金という対価をいただく。これで価値の交換が成立してるはずなのに、クライアントの無理難題に答えてしまっているから利益率を圧迫するわけです。
もしクライアントが過剰な要求をしてくるのであれば、本来はそこでお金を取らなきゃいけません。それで縁が切れるようなクライアントであれば、切ってしまっても構わないと思います。そこで浮いた時間を使って、さらに自分のサービスを付加価値の高いものに変えていく。こういう考え方が大事なんですね。
代行業は所詮、代行業でしかないんです。クライアントの言いなりになってしまっては終わりです。
僕はこのコールセンターに入ったおかげで、ビジネスのいろいろな良いところとか悪いところとかを見ることができました。
結果、会社で働くのやめようかなと思ったわけです。それで今の保育士の道を選びました。
世の中の仕事には社会性の高い仕事はたくさんあるので、ぜひ自分がやりがいがあると思う仕事を見つけて、それに向けて挑戦していくというのが健全な生き方ができるのでオススメです。